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図面14枚を、AIで照合

図面14枚の食い違い、AIはいくつ見つけた?

5か所仕込んで、2つのAIで測った。

14枚の基本計画図面を背景に、図面チェックの結果4/5から5/5を示す記事カバー
架空の基本計画図面14枚を使い、仕込んだ食い違いを探しました。

架空の住宅の基本計画図面14枚に、食い違いを5か所仕込みました。Claude Code と Codex に同じ頼み方で探させた結果は、どちらも4か所。5か所目の「窓の高さ」は、2つとも見逃しています。

著者
櫻本聖成
公開
更新

01

結果:4か所 → ひと言で5か所

4/5 1回目 5/5 2回目
仕込んだ5か所の検出結果(同じ図面を各AIで2回)
食い違い Claude 1 Claude 2 Codex 1 Codex 2
D14 幅 ○ ○ ○ ○
部屋名 ○ ○ ○ ○
面積 ○ ○ ○ ○
図面名 ○ ○ ○ ○
W01 窓高 × ○ × ○

頼み方に、窓と扉の長さを図面上で測るようひと言足すと、どちらも5か所すべてを見つけました。

この結果は、同じ図面一式を各AIで2回試した記録です。モデル一般の性能差を示すものではありません。

02

チャットとの違い:フォルダごと渡せる

Claude Code と Codex は、パソコンの中のフォルダをそのまま読みます。チャットのようにPDFを1枚ずつ貼る手間はなく、14枚を自分で開いて文字を抜き出し、図面を画像にして見比べ、計算までしたうえで、指摘を一覧にまとめてくれる。

01 フォルダ
02 PDF14枚を読む
03 全図面の一覧を作る
04 図面どうしを照らす
05 指摘一覧

03

実験のしかた

  • 図面 セミナーの実演で、手描きのラフからAIが作った架空の「スケッチの住戸 2階住戸基本計画」。表紙から外観パースまでA-00〜A-13の14枚、A2。
  • 仕込み 図面をまたいで照らせば見つかる食い違いを5か所。易しいもの2つ、中くらい1つ、難しいもの2つ。仕込む前と後で描き方が変わらないよう、14枚すべてを同じ方法で描き直してから仕込みました。
  • AI Claude Code(Opus 5.5)と Codex(gpt-6.1-sol)。正解は見せず、図面のPDFだけを渡しました。
  • 採点 仕込んだ5か所を見つけたか。仕込んでいない指摘は、仕込む前の図面で確かめて「本物」「間違い」「軽微」に分けました。
A-00 表紙の実際の図面全体
A-00 表紙
A-01 図面リストの実際の図面全体
A-01 図面リスト ④
A-02 計画概要書の実際の図面全体
A-02 計画概要書
A-03 特記仕様書の実際の図面全体
A-03 特記仕様書
A-04 仕上表の実際の図面全体
A-04 仕上表 ②
A-05 面積表・求積図の実際の図面全体
A-05 面積表・求積図 ③
A-06 案内図・配置図の実際の図面全体
A-06 案内図・配置図
A-07 2階平面図の実際の図面全体
A-07 2階平面図
A-08 屋根伏図の実際の図面全体
A-08 屋根伏図
A-09 立面図の実際の図面全体
A-09 立面図 ⑤
A-10 断面図の実際の図面全体
A-10 断面図
A-11 建具表の実際の図面全体
A-11 建具表 ①
A-12 設備計画概要の実際の図面全体
A-12 設備計画概要
A-13 外観・内観パースの実際の図面全体
A-13 外観・内観パース
図面はA-00〜A-13の14枚。番号の印は、変更した図面と場所。照合相手は別の図面にあります。

04

見つけた4か所

①

建具表の扉D14の幅 800→900

変更前の扉D14の幅800の図面部分
変更前
変更後の扉D14の幅900の図面部分
変更後

平面図の開口寸法800、建具表の姿図800

難しさ 中
②

仕上表の室名 部屋1→部屋5

変更前の仕上表の部屋1
変更前
変更後の仕上表の部屋5
変更後

平面図と面積表は部屋1

難しさ 易
③

面積表の部屋2 9.93720→9.39720

同じ行の計算式 3.64×2.73 = 9.93720㎡

変更前の面積表の数値9.93720を含む実際の図面部分
変更前の数字
変更後の面積表の数値9.39720を含む実際の図面部分
変更後の数字

平面図の9.94㎡、合計

難しさ 難
④

図面リストの図面名 屋根伏図→配置図

変更前の図面リストに屋根伏図と記載された部分
変更前
変更後の図面リストに配置図と記載された部分
変更後

その図面の図枠は屋根伏図

難しさ 易

③は数字の並びを入れ替えただけの目立たない変更でしたが、どちらのAIも計算式を自分で計算し直して見つけました。

05

見逃した1か所と、足したひと言

⑤は、立面図の窓1つの上端だけを200mm上げた変更です。平面図の注記と建具表は「窓高1,200」のまま、立面図に描かれた窓だけが1,400になっています。

立面図の窓W01の変更前と変更後。変更後は上端が200mm上がり、高さ1,400になっている
点線は、変更前の窓の上端。変更後は上端だけが200mm上がっています。
平面図の窓台900、窓高1,200という注記
平面図の注記
建具表のW01の高さ1,200
建具表のW01
立面図の窓の線を測り、平面図の注記と建具表の寸法に照らしました。

Claude Code は報告の中で「窓台900・窓高1,200 … と一致」と書いていました。注記の文字を読んで、描かれた窓の大きさを測らずに、一致と判断していました。Codex も窓の位置と符号は照らしましたが、高さの食い違いには触れていません。

2回目は、頼み方に次のひと言を足しました。

立面図の窓と扉は、文字の注記だけで判断せず、図面上の長さを測って実寸に直し、平面図の注記・建具表と1つずつ照らす

06

仕込んでいないのに見つけた本物と、間違い

Claude Code は1回目に、仕込んでいない食い違いを1つ見つけました。特記仕様書の本文は「防水タイル」、同じ図面の欄外と仕上表は「防滑タイル」。仕込む前の図面にもあった、本物の食い違いです。私たちが仕込む前に洗い出したときも、Codex も見落としていました。

特記仕様書の本文

特記仕様書本文の実際の記載、防水タイル・ウリン材デッキ防水タイル

同じ図面の欄外と仕上表

特記仕様書欄外の実際の記載、防滑タイル。A-04と共通防滑タイル

一方で、間違いもありました。屋上緑化の面積を、網掛けの範囲を長方形で測って「記載の36.979㎡と合わない」としましたが、実際の範囲にはくり抜きがあり、正しく測ると36.979㎡で合っていました。2回目には、窓の幅を寸法の一部だけで読んだ間違いも1つありました。Codex の指摘には、間違いはありませんでした。

屋上緑化の実面積に含まれる68辺のくり抜き形状

外接長方形の合計 38.390㎡

−

実際のくり抜き 1.411㎡

=

屋上緑化の実面積 36.979㎡

くり抜きのある緑化範囲。実際の塗り形状から面積を測ると、図面表の36.979㎡と一致します。

07

頼み方(そのままコピーして使えます)

基本の頼み方

このフォルダの「図面」に、基本計画の図面一式(PDF 14枚)があります。図面どうしで食い違っている所を探してください。

・最初に、全図面の一覧(図番・図面名・縮尺)を作る
・図面をまたいで照らす。少なくとも、建具表と平面図、仕上表と平面図、面積表と平面図、図面リストと各図面の図枠、立面図と平面図・特記仕様書
・サブエージェントで手分けして読んでよい
・指摘ごとに「どの図面の、どこと、どこが違うか」と、根拠になる図面上の文字や数字を書く
・確信が持てないものは「要確認」に分ける。推測で埋めない
・結果は 指摘一覧.md に書く。図面のファイルは変更しない

08

Claude Code と Codex、どちらを使う?

Claude Code

この実験での傾向
広く拾う。本物の追加発見1件、間違いも混ざる
時間(1回目)
9分14秒
費用(1回目)
3.20ドル(Opus 5.5、使った分)
向いている使い方
漏れを減らしたい最初の洗い出し

Codex

この実験での傾向
慎重。間違いは0件、拾う範囲は狭め
時間(1回目)
7分31秒
費用(1回目)
契約しているプランの範囲
向いている使い方
指摘を絞りたい確認

1回ずつの結果なので、どちらが優れているとは言えません。両方に同じ頼み方で探させ、指摘を突き合わせると、片方だけの見落としと間違いの両方を減らせます。

09

人が確かめるところ

①

「一致」と書かれても、図形を測ったかを確かめる

②

仕込んでいない指摘は、元の図面で本物か確かめる

③

直すかどうかの判断は設計者

10

今回の実験で分からないこと

試した

  • 架空の住宅
  • 基本計画14枚
  • 各AI2回

まだ試していない

  • 実施設計の何十枚もの図面
  • 手描き・スキャン図面
  • 構造・設備図との照合
  • 法規の判断

この実験の続きは、アーカイブのこの場面から見られます。

  1. 第3章
    Claude Code・Codexってなに? 入れ方と始め方
  2. 第5章
    図面を読む・数える 図面125枚の積算を、手分けして読ませる
  3. 第9章
    ナレッジの貯め方 今回の「ひと言」を、AIの決まりとして残す
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よくある質問

実施設計の図面でも使えますか?

今回は基本計画14枚で試しました。枚数が増えると読む時間が伸び、取りこぼしも増えると考えられます。セミナーでは図面125枚の積算を手分けして読ませた例を紹介しています。

図面を外部のAIに渡して大丈夫ですか?

Claude Code と Codex は、パソコンの中のファイルを読みますが、中身はAIの会社のサーバーに送られて処理されます。顧客の図面を使う前に、契約と社内のルールを確かめてください。今回は架空の図面です。

サブエージェントは使わなかったのですか?

頼み方で「使ってよい」としましたが、どちらも使いませんでした。

Claude Code は、14枚なら1人で通して読む方が、照合の取りこぼしが少ないと判断した、と報告しています。

ChatGPT のチャットでもできますか?

1枚ずつなら可能ですが、14枚をまたいで照らし、計算し、一覧にまとめる作業は、フォルダごと扱える Claude Code や Codex の方が向いています。