Archi-Prisma Design works

ARCHITECTURE AI FIELD GUIDE

建築AIとは

設計事務所と建築士の実務で、
AIに任せるところ、人が決めるところ。

企画から設計、申請、現場までの流れをつなぐ線画に、AIが効く箇所をオレンジの光点で示したイラスト

文章を生成できることと、建築の仕事を任せられることは同じではありません。業務の途中にある調査、整理、比較、下書きを切り分けると、AIが役立つ場所と、人が手を離せない場所が見えてきます。

著者
櫻本 聖成
公開・更新

01

建築AIが指すもの

建築AIは、建物を自動で設計する一つの製品名ではありません。設計、施工、管理の途中にある情報処理を、生成AIや自動化の仕組みで補助する使い方の総称です。

たとえば、法規調査の入口を整理する仕事と、提案書の章立てをつくる仕事では、使う資料も確認方法も違います。画像を扱う場面、表を扱う場面、BIMや工程管理ツールを動かす場面も同じ手順にはなりません。

施工計画、工程管理、現場報告でのAI活用は、建設AIという言葉で探されることがあります。内装イメージの提案や素材比較は、インテリアAIと呼ばれる領域です。このガイドでは、どちらも建物の企画から設計、施工までをつなぐAI活用の一部として扱います。名前が違っても、人が最終判断を持つ境界は変わりません。

共通するのは、AIの返答を完成品と見なさないことです。出力の根拠を確認できる形にし、建築士、担当者、現場監督が最終判断を持つ。ここを曖昧にすると、速くなったように見えて確認作業だけが後ろへ移ります。

設計フェーズ 施工フェーズ 01 調査 論点・出典を 整理 02 提案 構成案の たたき台 03 議事録 決定事項の 草案 04 図面確認 チェック項目に 整理 05 見積 比較表に 整理 06 現場 分類・ 下書き
調査から現場まで、設計〜施工の流れの中でAIが関わる位置。番号は下の6業務の並びと対応する。

02

設計事務所で切り分けやすい6つの業務

AIが担うのは、材料をそろえ、比べ、草案にするところまで。右側に置いた人の仕事まで渡さない設計にすると、確認の負担を読み違えにくくなります。

設計事務所の6つの実務でAIが効くところ(一覧)
業務 AIに任せる 人が判断する
調査 指定した資料から論点、出典候補、確認が必要な箇所を整理する。 参照元を開き、条件と更新日を確かめて採用を決める。
提案 要望と制約を材料に、構成案や説明文のたたき台を複数出す。 設計意図と敷地条件を重ね、提案として成立させる。
議事録 録音やメモから、決定事項、保留事項、担当を含む草案をつくる。 聞き違いと決定の強さを確かめ、関係者へ出す文面に直す。
図面確認 図面から取得できる情報を、決めたチェック項目に沿って並べる。 図面間の関係、納まり、設計判断を確認し、修正を指示する。
見積 過去資料や仕様を、比較しやすい表と確認項目へ整える。 数量、単価、除外条件、契約に関わる数値を確定する。
現場 写真や報告を分類し、共有文と日報の下書きをつくる。 現地の状態と安全を確認し、優先順位と施工上の指示を決める。
01

調査

AIに任せる
指定した資料から論点、出典候補、確認が必要な箇所を整理する。
人が判断する
参照元を開き、条件と更新日を確かめて採用を決める。
02

提案

AIに任せる
要望と制約を材料に、構成案や説明文のたたき台を複数出す。
人が判断する
設計意図と敷地条件を重ね、提案として成立させる。
03

議事録

AIに任せる
録音やメモから、決定事項、保留事項、担当を含む草案をつくる。
人が判断する
聞き違いと決定の強さを確かめ、関係者へ出す文面に直す。
04

図面確認

AIに任せる
図面から取得できる情報を、決めたチェック項目に沿って並べる。
人が判断する
図面間の関係、納まり、設計判断を確認し、修正を指示する。
05

見積

AIに任せる
過去資料や仕様を、比較しやすい表と確認項目へ整える。
人が判断する
数量、単価、除外条件、契約に関わる数値を確定する。
06

現場

AIに任せる
写真や報告を分類し、共有文と日報の下書きをつくる。
人が判断する
現地の状態と安全を確認し、優先順位と施工上の指示を決める。

03

AIに向く仕事と、人が判断する仕事

分量が多い、形式を決められる、正誤をあとから照合できる。この三つがそろうほど、AIへ渡しやすい仕事になります。

反対に、根拠が社内や現場にしかない判断、関係者との合意、設計意図の選択、法規や安全に関する最終確認は、人が持ちます。AIが流暢に答えても、正しさが保証されたことにはなりません。

AIへ渡しやすい 指定資料の要約と分類 決めた形式への転記 比較表とチェック候補の作成 文章や画像のたたき台 人が持つ 根拠資料の採否 設計意図と優先順位 数量、金額、契約条件の確定 法規、安全、施工の最終判断
AIと人の境界。左はAIへ渡しやすい定型の仕事、右は人が持ち続ける判断。

AIへ渡しやすい

  • 指定資料の要約と分類
  • 決めた形式への転記
  • 比較表とチェック候補の作成
  • 文章や画像のたたき台

人が持つ

  • 根拠資料の採否
  • 設計意図と優先順位
  • 数量、金額、契約条件の確定
  • 法規、安全、施工の最終判断

境界は道具を導入したあとに決めるものではありません。最初の試行より前に決めます。

04

小さく始める順序

導入の単位を「会社」から「一つの反復作業」へ落とすと、使えたかどうかを記録できます。

  1. 01

    仕事を一つに絞る

    毎週または毎案件で繰り返す作業から選びます。最初から部署全体を変える必要はありません。

  2. 02

    任せる範囲を一文にする

    入力に使ってよい資料、AIが返す形式、人が確認する箇所を先に決めます。

  3. 03

    一案件で試す

    同じ作業を従来の手順でも残し、所要時間、修正箇所、使えなかった出力を記録します。

  4. 04

    続ける条件を決める

    速さだけでなく、確認のしやすさと再現性まで見て、標準化するか止めるかを判断します。

05

Archi-Prismaで確認している範囲

以下は当社サイトで提供中と案内している自社ツールの範囲です。確認日は2026年7月20日。一般的な製品比較や、他社業務での効果を示すものではありません。

提供中

AI Commander

Archicadの操作を支援するアドオンとして案内しています。設計作業の自動化を扱う範囲です。

提供中

COMPASS

建設プロジェクトの工程管理を扱うWebアプリです。予定立案と進捗追跡の補助を案内しています。

提供中

KAKOME

現場写真に指示を重ねて共有するWebアプリです。写真を使った指示書の作成を扱います。

COMPASSの工程表と進捗確認画面
COMPASSの実際の工程管理画面。予定立案から進捗追跡までを1つの画面で確認できる。