01 / WHAT WE BUILT
日付を並べるだけでは、 工程表にならない。
ある作業が終わらないと、次の作業を始められない。同じ班を、同じ日に別の場所へ配置できない。工程表には、棒の長さだけでは見えない条件があります。
今回の実験では、RC造5階・40戸・延床2,400㎡、杭基礎、東京都内の平坦地という仮定を置きました。AIと計算処理を組み合わせ、各工程の所要日数、先行関係、施工班、稼働日を整理。総覧だけでなく、階別の詳細工程や協議事項まで資料にしています。
資料の「施工者協議用」は用途を示す表記で、実際に提出・承認されたという意味ではありません。作業日数や数量は実験の仮定です。工期短縮や省力化の実測値も、今回は出していません。
形にしたのは、3種類の情報。
- 全体像: 設計・申請から引渡しまでを見渡せる総合工程表。
- つながり: 129工程 と180の先行関係を持つ工程データ。
- 確認事項: 数量、班能力、納期、検査条件など、施工者と協議するための項目。
この条件での計算結果は、着工2027年7月15日、引渡し2028年12月8日。513暦日は両日を含む値です。この規模の建物の標準工期を示す数字ではありません。
02 / TEST THE CONSEQUENCES
1週間遅れたら、 引渡しはどう変わる?
見た目の確認に加え、特定の工程の開始を遅らせて再計算しました。下表は同時に遅らせた結果ではなく、それぞれを個別に変更した試算です。
| 変更した工程ID | 開始の遅れ | 再計算後の引渡し | 当初との差 |
|---|---|---|---|
| 5F 支保工解除・内装区画引渡し S59 | 7暦日 | 2028年12月15日 | 7暦日 |
| 1F 先行配管・配線・間仕切下地 I11 | 7暦日 | 2028年12月15日 | 7暦日 |
| 総合試運転 開始条件確認 G08 | 7暦日 | 2028年12月15日 | 7暦日 |
| 受変電設備 製作 P02 | 30暦日 | 2028年12月8日 | 変化なし |
同じ「遅れ」でも、後続への影響は違います。P02の試算で引渡しが変わらなかったのは、今回定義した工程の余裕内だったためです。実際の発注を30日遅らせてよい、という判断には使えません。

工程IDの重複、先行関係の制約違反、定義した班の同日重複がないことを検証しました。129工程の最遅開始境界と、休日をまたぐ計算も確認しています。 確認できたのは、入力した条件の中での計算の整合性です。
03 / HUMAN REVIEW
計算が合っても、 現場で成立するかは別の確認。
数量と施工体制
数量に対して日数や班能力が妥当か。揚重機、搬入車両、作業床の余裕まで確認します。今回、数量付きの資源山積みは未実施です。
納期と検査
メーカー納期、検査予約、是正、証書交付まで含めて、関係者の回答を工程へ反映する必要があります。
強度と施工条件
養生や支保工の扱いを、経過日数だけで決めることはできません。構造・施工計画と現場条件の照査が必要です。
休日と更新
2028年の祝日は資料作成時の暫定条件です。休日や施工条件が変わったら工程データから再計算し、図と同じ改訂番号にそろえます。
図の上だけで日付を書き換えると、後続への影響が抜け落ちます。工程の条件・計算結果・表示する図を、同じ版として管理することが重要です。
実務で試すための記録シート
結果だけでなく、 何を変えて確かめたかを残す。
今回の遅延試算を自分の案件と比べるときは、元の工程表を保存し、条件を一つずつ変更します。下のCSVに、当初と変更後の結果、確認者、次の判断を書き残せます。
- 元の版を固定する。 工程一覧、先行関係、稼働日、施工班の条件をそろえます。
- 変更を一つに絞る。 対象の工程IDと、開始を何日ずらしたかを記録します。
- 全体を再計算する。 引渡日だけでなく、後続工程と班の重なりも確認します。
- 採用する前に確認する。 数量、納期、現場条件を関係者と照合し、採用・修正・保留を残します。
Excelなどで開けるCSV。公開済みの試算4件と、追記用の空欄を収録。工程表の自動計算機能はありません。
04 / PUT IT TO WORK
自社なら、どの仕事に使えるか。
まずは終わった案件や仮想条件で、従来の工程表と比べるところから。工程の抜け、先行関係、休日、担当者の確認が必要な箇所を洗い出すと、任せたい作業が具体的になります。
私たちは建築設計に携わりながら、法人AI顧問・伴走支援と、業務ツールの受託開発を行っています。現場の条件を理解すること、AIの使い方を一緒に考えること、必要な仕組みをつくることをつなげて支援します。
よくある質問
AIが作った工程表を、そのまま現場で使えますか?
この実験の工程表は施工者協議用のたたき台です。数量、生産性、施工班、納期、現場条件、検査日程を関係者が確認し、合意した条件で再計算する必要があります。
工程表を画像にすれば、日程の計算も正しくなりますか?
画像の見た目と計算の整合性は別です。この実験では工程データを計算・検証し、その結果を図にしています。図面だけの日付変更では、後続工程への影響を追えません。
この工程表は、実際の工事実績ですか?
いいえ。青葉レジデンスは検証用の仮想案件です。工期の短縮実績、現場採用、施工者の承認を示すものではありません。
この実例を、自分の仕事につなげる。
積算・工程表・3Dでは、AIに渡す資料も、人が確認する点も違います。総合ガイドで用途を比べ、自社で試す仕事を選べます。
建築AIの総合ガイド|実例と導入の始め方 →