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PDF DRAWING TO CAD

PDF図面をAIでCADに。何mmずれた?

正解と重ねて、mmで測った。

同じ平面図の左半分をスキャンしたPDF、右半分をAIが起こしたCADの線(オレンジ)で並べた図。壁0mm、建具の位置は最大41mm、かかった時間8分
左はスキャンしたPDF、右はAIが起こしたCADの線。ずれは正解と重ねて測りました。

既存の図面がPDFしかない。CADで直したいのに、描き直すと1日かかる。この作業をAIにどこまで任せられるのか、実際に測りました。用意したのは、正解のCADデータを先に持っている平面図です。そのPDFをAIに渡して、DXF(多くのCADで開ける図面ファイル)にさせました。正解はAIに見せず、出てきたDXFを正解と重ねて、何mmずれたかを数えています。

著者
櫻本聖成
公開
更新

01

PDFの種類で、結果が変わった

結果(架空の木造平屋・平面図1枚、1/100、10室・建具14か所)

5分17秒 CAD出力PDF|ずれ0mm
8分6秒 スキャンPDF|壁0mm
平均15mm・最大41mm スキャンPDF|建具位置
正解図とAI出力の比較
PDFの種類 かかった時間 壁・通り芯のずれ 建具位置のずれ 文字(室名・寸法・表)
CADから書き出したPDF 5分17秒0mm*0mm入力の105件すべて一致
紙をスキャンしたPDF 8分6秒0mm*平均15mm・最大41mm入力の105件すべて読めた(表の空白の差24件)

壁は、正解図と出力図で向かい合う面どうしを比べています。数字はこの図面1枚を、それぞれ1回だけ変換した結果です。

壁がぴったり合ったのは、AIに「図面に書いてある寸法の数字を正とする」と頼んだからです。寸法の書いていない建具の位置は、AIが画像から測るので数cmずれます。人が確かめるのは、ここです。

スキャンPDFから起こしたDXFと正解図の線形重ね図。WD3は40.8mm、WD1は29.3mm、WD10は24.2mmずれている
正解図 AI出力
  1. 1|WD3 +40.8mm
  2. 2|WD1 +29.3mm
  3. 3|WD10 +24.2mm
印は正解図と出力図で照合した端点です。寸法のない開口位置で差が出ました。

02

まず、PDFの種類を見分ける

同じ図面でも、PDFの中身は2種類あります。

CADから書き出したPDF

描画204件・画像0件・抽出語185語。線が線として入っています。

紙をスキャンしたPDF

ベクトル描画0件・画像1枚・抽出語0語。画像の点の集まりです。

CADから書き出したPDFには、線が線として、文字が文字として入っています。PDFを開いて文字を選択できれば、こちらです。

紙をスキャンしたPDFは、中身が1枚の画像です。拡大すると線の縁がにじみ、文字は選択できません。

CADから書き出したPDFは、AIを使わなくてもCADに取り込めます。AutoCADの「PDF読み込み(PDFIMPORT)」や変換ソフトで、線と文字はそのまま取り出せます。AIが本当に役に立つのは、スキャンした図面と、取り込んだあとの片付け(画層分け・寸法との照合)です。

03

実験のしかた

  1. 01 正解のCADを先に作る
  2. 02 PDFを2種類にする
  3. 03 AIにはPDFと頼み方だけ
  4. 04 AIがDXFを出す
  5. 05 重ねてmmで採点

架空の木造平屋 延床79.5㎡ 910モジュール A3横・1/100 室10 建具・窓14 各1回

実験のしかた
  • 図面:架空の木造平屋、延床79.5㎡、910モジュール、A3横・1/100。室10、建具・窓14、寸法、建具表・窓表・室面積表つき。正解はCADデータ(DXF)で先に作りました。
  • 渡したもの:PDF1枚と、下の頼み方だけ。正解は見せていません。
  • 使ったAI:Codex(GPT-6 Astra)。9/27のセミナーで図面14枚を作らせたのと同じです。
  • 採点:別のAIに、正解のDXFとAIのDXFを重ねさせ、X1・Y1の交点で合わせてから(回転・拡大はしない)、壁面・通り芯・建具端点をmmで測らせました。文字は正解の文字列と1件ずつ照らしています。DXFは別の変換ソフト(ODA File Converter)でも開けることを確かめました。

04

CADのPDFは、5分17秒・ずれ0mm

AIはPDFの中の線と文字を読み出し、縮尺1/100を掛け戻して実寸のDXFにしました。通り芯・壁・建具14か所の端点はすべて0mm。寸法32か所を数字と照らし、食い違いは0件でした。文字は入力PDFから抽出できた105件すべて一致しています。

ベクトルPDFから変換したDXFを正解図と重ねた平面図。対応する壁、通り芯、開口端点が重なっている
正解図 AI出力 採点で対応付けた通り芯・壁面・建具端点は一致。

ただし、CADで直すときの手間は残ります。寸法は、線と文字に分かれて入っています。CADの寸法オブジェクトにはなっていないので、壁を動かしても数字は変わりません。開き戸の軌跡は細かい折れ線で入っていて、戸の幅を変えるなら描き直しになります。

PDFの中身をそのまま写したので、形は正確でも、CADの部品としては「描いた線の集まり」です。

05

スキャンPDFは、8分6秒・壁0mm

画像だけのPDFから、AIは図面を読んで描き直しました。傾き(約0.6度)を補正し、寸法の数字から通り芯の位置を決め、壁厚120で壁を立てています。

  • 通り芯と壁:0mm。寸法の数字を正にしたので、画像の歪みに引きずられていません(正解図と対応する壁面の範囲で比較)。
  • 建具14か所:幅はすべて建具表どおり。位置は平均15mm、最大41mm(WD3 収納の引戸)ずれました。建具の位置を示す寸法は図面に書いていないので、AIは画像の線から測っています。
  • 文字:室名・面積・符号・寸法の数字はすべて一致。表の文字は、空白の入り方が違うものが24件ありました(中身の誤りは0件)。
スキャンPDFから起こしたDXFと正解図の重ね図。WD3は40.8mm、WD1は29.3mm、WD10は24.2mmの端点差
正解図 AI出力
  1. 1|WD3 +40.8mm
  2. 2|WD1 +29.3mm
  3. 3|WD10 +24.2mm
印は正解図と出力図で照合した端点です。

逆に、CADでの直しやすさはこちらが上でした。開き戸は円弧、寸法は寸法オブジェクトで描かれています。AIが「描き直した」ので、CADの部品として作られています。

出力1:ベクターPDF

出力1のDXFから再描画した玄関。WD1の戸軌跡は折れ線、WD4寸法は線と文字に分かれている
WD1開き戸:折れ線(LWPOLYLINE)
WD4・900:線と文字(LINE+TEXT)

出力2:スキャンPDF

出力2のDXFから再描画した玄関。WD1の戸軌跡は円弧、WD4寸法はDIMENSION
WD1開き戸:円弧(ARC)
WD4・900:寸法オブジェクト(DIMENSION)

スキャン出力の寸法オブジェクトは非関連付けです。壁を動かしても自動では追従しないため、寸法の定義点を個別に修正する必要があります。独立したCADアプリでの操作確認はしていません。

06

頼み方の3つのコツ

AIに渡した頼み方(そのままコピーして使えます)
添付の PDF は、木造平屋の平面図です(縮尺は図面に書いてあります)。CAD で編集できる DXF にしてください。

・単位は mm。縮尺を掛け戻して、実寸で描く
・画層を分ける:通り芯/壁/建具/寸法/文字
 ・寸法は、図面に書いてある寸法の数字を正とする。線の長さと数字が合わないときは数字に合わせ、どこを合わせたかを一覧に残す
 ・読めない所は推測で埋めない。「不明」として一覧にして、最後に出す
 ・できたら DXF を画像にして元の PDF と重ね、ずれを自分で確かめてから終わる

①

寸法の数字を正とする

正解図とAI出力を重ねた図。壁と通り芯が一致
壁・通り芯 0mm
②

読めない所は不明として一覧に

AIが出した報告の「読めなかった所・不明な所」から、建具の位置が寸法記載なしで不明だったと書いた部分の抜粋
推測で埋めずに、不明を一覧に
③

重ねて自分で確かめる

AIが自分で作成したPDFとDXFの重ね図
AIが自分で重ねて確かめた

07

人が確かめるところ

図面上で確かめる場所を拡大し、番号で確認項目につないでいます。
DXFに変換した後に人が確認する項目
確かめる所 見かた
1 寸法の書いていない位置 建具・設備・家具の位置は数cmずれる前提で、元の図面と重ねて見る
2 表の文字 全角・半角や空白の違い。拾い出し(数量)に使うなら必ず見る
3 縮尺 図面に書いてある縮尺と用紙の大きさが合っているか。縮小コピーした図面は特に注意
図面の権利と守秘 他社が作った図面や顧客の図面を外部のAIに渡してよいか、契約と社内のルールを先に確かめる

08

今回の実験で分からないこと

試した

架空の木造平屋 今回試した
平面図1枚・1/100 今回試した
200dpi 今回試した
各1回 今回試した

まだ試していない

線の多い実施図 未確認
手描き 未確認
汚れや書き込み 未確認
縮尺のない図面 未確認

どちらも各1回の結果です。回によって結果は変わります。

作業時間に、人が確かめる時間は含みません。

セミナー参加者の感想

9/27のセミナーでは、参加者の方から PDF図面からCADデータが作れて、1日かかりそうな作図が10分くらいでできた という感想をいただきました(参加者の体感です)。

09

もっと先へ:AIは図面を「コードで書いている」

図形をコードで書く
DXF 3D 図面 見積

AIは図形をコードで書いて、DXFに書き出しています。だから、同じデータから3D・図面・見積を出すこともできます。9/27「実務で使えるAI×建築セミナー」第4章「AIで図面を描く」では、手描きのラフから図面14枚と概算まで出した手順を、頼み方つきで見せました(「一番役に立った章」の1位、22票)。

第4章「AIで図面を描く」を、頼み方つきで見る。

9/27セミナーのアーカイブは、本編3時間と延長Q&A・実演を合わせた全5時間11分。頼み方の全文が入った活用キットつきです(参加申込227名)。

この記事の続きは、アーカイブのこの場面から見られます。

  1. 1:00:26 第4章 ラフから図面14枚まで
  2. 4:37:51 延長 既存の図面をCAD化する
  3. 4:45:18 延長 CAD化した平面図から3Dへ
アーカイブを見る →

毎月、新しいやり方を試すなら。

AI×建築サークルの会員は、会員ページからこのアーカイブを追加料金なしで見られます。月1回のオンライン面談で、自分の図面での使い方も相談できます。

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10

よくある質問

無料のChatGPTでもできますか?

今回は Codex(GPT-6 Astra)で、PDFの読み取り・DXFの書き出し・重ね合わせまでをAIのPC上の作業として行いました。チャットだけの環境では、ファイルの書き出しや自分での照合ができない場合があります。セミナーの参加者は、ChatGPTのデスクトップ版で試しています。

JWW(Jw_cad)形式にできますか?

今回はDXFで出しました。DXFは Jw_cad でも開けます。

スキャンの図面は、どのくらいの解像度が要りますか?

今回は200dpiのA3でした。寸法の数字が拡大して読める解像度が目安です。文字が潰れていると、数字を正にできません。

建具の位置のずれ(最大41mm)は、実務で問題になりますか?

用途次第です。改修の検討図や数量の概算なら許せる範囲のことが多い一方、施工図には使えません。寸法の書いていない位置は、現地で測るか元の図面で確かめてください。