01
PDFの種類で、結果が変わった
結果(架空の木造平屋・平面図1枚、1/100、10室・建具14か所)
| PDFの種類 | かかった時間 | 壁・通り芯のずれ | 建具位置のずれ | 文字(室名・寸法・表) |
|---|---|---|---|---|
| CADから書き出したPDF | 5分17秒 | 0mm* | 0mm | 入力の105件すべて一致 |
| 紙をスキャンしたPDF | 8分6秒 | 0mm* | 平均15mm・最大41mm | 入力の105件すべて読めた(表の空白の差24件) |
壁は、正解図と出力図で向かい合う面どうしを比べています。数字はこの図面1枚を、それぞれ1回だけ変換した結果です。
壁がぴったり合ったのは、AIに「図面に書いてある寸法の数字を正とする」と頼んだからです。寸法の書いていない建具の位置は、AIが画像から測るので数cmずれます。人が確かめるのは、ここです。
- 1|WD3 +40.8mm
- 2|WD1 +29.3mm
- 3|WD10 +24.2mm
02
まず、PDFの種類を見分ける
同じ図面でも、PDFの中身は2種類あります。
CADから書き出したPDF
紙をスキャンしたPDF
CADから書き出したPDFには、線が線として、文字が文字として入っています。PDFを開いて文字を選択できれば、こちらです。
紙をスキャンしたPDFは、中身が1枚の画像です。拡大すると線の縁がにじみ、文字は選択できません。
CADから書き出したPDFは、AIを使わなくてもCADに取り込めます。AutoCADの「PDF読み込み(PDFIMPORT)」や変換ソフトで、線と文字はそのまま取り出せます。AIが本当に役に立つのは、スキャンした図面と、取り込んだあとの片付け(画層分け・寸法との照合)です。
03
実験のしかた
- 01 正解のCADを先に作る
- 02 PDFを2種類にする
- 03 AIにはPDFと頼み方だけ
- 04 AIがDXFを出す
- 05 重ねてmmで採点
架空の木造平屋 延床79.5㎡ 910モジュール A3横・1/100 室10 建具・窓14 各1回
実験のしかた
- 図面:架空の木造平屋、延床79.5㎡、910モジュール、A3横・1/100。室10、建具・窓14、寸法、建具表・窓表・室面積表つき。正解はCADデータ(DXF)で先に作りました。
- 渡したもの:PDF1枚と、下の頼み方だけ。正解は見せていません。
- 使ったAI:Codex(GPT-6 Astra)。9/27のセミナーで図面14枚を作らせたのと同じです。
- 採点:別のAIに、正解のDXFとAIのDXFを重ねさせ、X1・Y1の交点で合わせてから(回転・拡大はしない)、壁面・通り芯・建具端点をmmで測らせました。文字は正解の文字列と1件ずつ照らしています。DXFは別の変換ソフト(ODA File Converter)でも開けることを確かめました。
04
CADのPDFは、5分17秒・ずれ0mm
AIはPDFの中の線と文字を読み出し、縮尺1/100を掛け戻して実寸のDXFにしました。通り芯・壁・建具14か所の端点はすべて0mm。寸法32か所を数字と照らし、食い違いは0件でした。文字は入力PDFから抽出できた105件すべて一致しています。
ただし、CADで直すときの手間は残ります。寸法は、線と文字に分かれて入っています。CADの寸法オブジェクトにはなっていないので、壁を動かしても数字は変わりません。開き戸の軌跡は細かい折れ線で入っていて、戸の幅を変えるなら描き直しになります。
PDFの中身をそのまま写したので、形は正確でも、CADの部品としては「描いた線の集まり」です。
05
スキャンPDFは、8分6秒・壁0mm
画像だけのPDFから、AIは図面を読んで描き直しました。傾き(約0.6度)を補正し、寸法の数字から通り芯の位置を決め、壁厚120で壁を立てています。
- 通り芯と壁:0mm。寸法の数字を正にしたので、画像の歪みに引きずられていません(正解図と対応する壁面の範囲で比較)。
- 建具14か所:幅はすべて建具表どおり。位置は平均15mm、最大41mm(WD3 収納の引戸)ずれました。建具の位置を示す寸法は図面に書いていないので、AIは画像の線から測っています。
- 文字:室名・面積・符号・寸法の数字はすべて一致。表の文字は、空白の入り方が違うものが24件ありました(中身の誤りは0件)。
- 1|WD3 +40.8mm
- 2|WD1 +29.3mm
- 3|WD10 +24.2mm
逆に、CADでの直しやすさはこちらが上でした。開き戸は円弧、寸法は寸法オブジェクトで描かれています。AIが「描き直した」ので、CADの部品として作られています。
出力1:ベクターPDF

WD4・900:線と文字(LINE+TEXT)
出力2:スキャンPDF

WD4・900:寸法オブジェクト(DIMENSION)
スキャン出力の寸法オブジェクトは非関連付けです。壁を動かしても自動では追従しないため、寸法の定義点を個別に修正する必要があります。独立したCADアプリでの操作確認はしていません。
06
頼み方の3つのコツ
添付の PDF は、木造平屋の平面図です(縮尺は図面に書いてあります)。CAD で編集できる DXF にしてください。
・単位は mm。縮尺を掛け戻して、実寸で描く
・画層を分ける:通り芯/壁/建具/寸法/文字
① ・寸法は、図面に書いてある寸法の数字を正とする。線の長さと数字が合わないときは数字に合わせ、どこを合わせたかを一覧に残す
② ・読めない所は推測で埋めない。「不明」として一覧にして、最後に出す
③ ・できたら DXF を画像にして元の PDF と重ね、ずれを自分で確かめてから終わる寸法の数字を正とする

読めない所は不明として一覧に

重ねて自分で確かめる

07
人が確かめるところ
| 確かめる所 | 見かた |
|---|---|
| 1 寸法の書いていない位置 | 建具・設備・家具の位置は数cmずれる前提で、元の図面と重ねて見る |
| 2 表の文字 | 全角・半角や空白の違い。拾い出し(数量)に使うなら必ず見る |
| 3 縮尺 | 図面に書いてある縮尺と用紙の大きさが合っているか。縮小コピーした図面は特に注意 |
| 図面の権利と守秘 | 他社が作った図面や顧客の図面を外部のAIに渡してよいか、契約と社内のルールを先に確かめる |
08
今回の実験で分からないこと
試した
まだ試していない
どちらも各1回の結果です。回によって結果は変わります。
作業時間に、人が確かめる時間は含みません。
セミナー参加者の感想
9/27のセミナーでは、参加者の方から PDF図面からCADデータが作れて、1日かかりそうな作図が10分くらいでできた
という感想をいただきました(参加者の体感です)。
09
もっと先へ:AIは図面を「コードで書いている」
AIは図形をコードで書いて、DXFに書き出しています。だから、同じデータから3D・図面・見積を出すこともできます。9/27「実務で使えるAI×建築セミナー」第4章「AIで図面を描く」では、手描きのラフから図面14枚と概算まで出した手順を、頼み方つきで見せました(「一番役に立った章」の1位、22票)。
第4章「AIで図面を描く」を、頼み方つきで見る。
9/27セミナーのアーカイブは、本編3時間と延長Q&A・実演を合わせた全5時間11分。頼み方の全文が入った活用キットつきです(参加申込227名)。
この記事の続きは、アーカイブのこの場面から見られます。
- 1:00:26 第4章 ラフから図面14枚まで
- 4:37:51 延長 既存の図面をCAD化する
- 4:45:18 延長 CAD化した平面図から3Dへ
毎月、新しいやり方を試すなら。
AI×建築サークルの会員は、会員ページからこのアーカイブを追加料金なしで見られます。月1回のオンライン面談で、自分の図面での使い方も相談できます。
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よくある質問
無料のChatGPTでもできますか?
今回は Codex(GPT-6 Astra)で、PDFの読み取り・DXFの書き出し・重ね合わせまでをAIのPC上の作業として行いました。チャットだけの環境では、ファイルの書き出しや自分での照合ができない場合があります。セミナーの参加者は、ChatGPTのデスクトップ版で試しています。
JWW(Jw_cad)形式にできますか?
今回はDXFで出しました。DXFは Jw_cad でも開けます。
スキャンの図面は、どのくらいの解像度が要りますか?
今回は200dpiのA3でした。寸法の数字が拡大して読める解像度が目安です。文字が潰れていると、数字を正にできません。
建具の位置のずれ(最大41mm)は、実務で問題になりますか?
用途次第です。改修の検討図や数量の概算なら許せる範囲のことが多い一方、施工図には使えません。寸法の書いていない位置は、現地で測るか元の図面で確かめてください。




