Archi-Prisma Design works

AI MODELING FIELD GUIDE

AIで、設計初期の案をどう広げる?

ボリュームとパースの候補を増やし、人は設計意図を選び取る。

敷地から複数のボリューム案が扇状に広がり、中央の1案だけがオレンジで示されたイラスト
設計初期のAI活用は、候補を増やして比較し、人の設計判断へ戻すために使う。

設計初期には、敷地条件からボリュームを試算する作業と、外観や空間の方向性を比べる作業があります。AIやアルゴリズムは選択肢を広げる材料になりますが、最終的な形状、法規、コスト、空間体験を決めるものではありません。ここでは、設計者が比較しやすい順序と、人が担う境界を整理します。

著者
櫻本
公開
更新

01

AIモデリングは、案を比較するための補助線

AIモデリングは一つの完成製品ではなく、条件整理、ボリューム試算、画像生成などを設計初期に使う総称です。

敷地条件から建てられる規模の候補を試算する、テキストや参考画像から外観のスタディを複数出す、手の動きや別の入力方法を試作する。扱う技術は違っても、役割は人が判断する前の材料を整えることです。

たたき台を最終案へ調整し、法規、コスト、設計意図、空間体験、街との関係を確認するのは設計者です。AIで広げた案は、施主との対話で「なぜこの案か」を確かめるために使います。

01条件をそろえる

敷地、用途、法規、要望を入力資料にする。

02候補を出す

ボリュームや外観の複数案をつくる。

03比較する

変えた条件と採用理由を並べて確認する。

04設計へ戻す

人が設計意図、法規、コストを確定する。

AIは候補を増やす工程を補助し、採用案を設計として確定する工程は人が持つ。

02

ボリューム検討は、根拠と一緒に比べる

用途地域、建ぺい率、容積率、斜線、天空率など、条件ごとの根拠を結果へ結び付けて残します。

ボリューム検討でAIに任せる整理と、人が確定すること
工程AI・アルゴリズムの補助人が確認・決定すること
条件整理用途地域、建ぺい率、容積率、斜線などを一覧化する参照資料、適用条件、更新日を確認する
候補づくり条件に沿う規模のたたき台を比較する敷地の読み方、周辺との関係、成立性を判断する
申請・確定確認用の図表や3D表示へ整える法規確認、確認申請、設計意図を有資格者が確定する

社内で検討・開発中の構成

  • 法規条件の整理
  • 斜線制限・天空率の検討
  • 比較用の3D表示

人が確定する工程

  • 資料と適用条件の照合
  • 設計意図と空間の成立性
  • 最終的な法規確認・確認申請
社内で検討・開発中の構成は、検討のためのたたき台。最終的な法規確認と確認申請は有資格者が行う。

この構成は一般提供済みの製品として説明するものではありません。外注か内製かを決めるときは、対象業務と確認者を先に定めます。組織への導入順序は設計事務所がAI導入を90日で進める方法で整理しています。

03

案を広げる入力は、実務と試作を分ける

生成AIで外観案を増やす使い方と、入力方法そのものを試すデモは、現在地を分けて説明します。

LIVE

実務で使う生成AI

テキストや参考画像から外観のスタディを複数つくり、初期の方向性を比べます。完成パースや確定図面の代わりにはしません。

PROTOTYPE

試作・デモのTENOMA

Webカメラで手の動きを認識し、ブラウザ上で床の広さや高さ、開口を試すデモです。製品として提供しているものではなく、実機検証は途上です。

実務で使うものと試作段階のものを区別すると、読者が利用可能範囲を誤解しにくい。

建築AIツールを業務別に選ぶときも、ツール名より先に「どの段階の何を比べるか」を決めます。どちらの入力でも、最終的な設計判断の代わりにはなりません。

04

AIパースは、固定条件を決めてから比べる

一枚ずつ思いつきで生成せず、変えない条件と比較する条件を分けます。

01固定する

形状、開口、階高、カメラ位置を固定する。

02変えて試す

素材、光、植栽、家具など一つずつ変える。

03比較する

設計との整合、説明力、修正量を見る。

04設計へ戻す

採用理由と未確定条件を記録する。

固定条件を先に置くと、AIパースの差分を設計判断へ戻しやすい。

AI画像は比較資料として扱い、形状や寸法が変わっていないかを元の3Dモデルや図面へ戻って確認します。診断は約60〜90秒で現在地を確認できますが、診断結果も採用案を決めるものではありません。

05

AIパースで止まりやすい三つの形

画像がきれいでも、設計との関係が切れると実務では使えません。

01

形まで変わる

素材だけを変えたいのに窓や階数が変わる。固定条件を明記し、元図と重ねて確認します。

02

比較軸がない

生成するたびに条件が変わり、採用理由を説明できない。変数を一つずつ変えて並べます。

03

仕様が混ざる

納まらない部材や未確認の仕上げが描かれる。仕様は別資料で確定します。

06

AIパースと従来パースを、段階で使い分ける

優劣ではなく、検討段階と説明責任に合わせて選びます。

AIパースと従来の3Dレンダリングの使い分け
比較項目AIパース従来の3Dレンダリング
向く段階方向性を広げる初期検討形状と仕様が固まった説明・納品
比較しやすさ複数の雰囲気を短時間で並べやすい条件を管理した精度の高い比較
形状の扱い元案と異なる形が混ざることがある3Dモデルをもとに形状を管理しやすい
実務での役割比較案と対話のきっかけ確定案を説明する資料

初期はAIパースで方向性を広げ、採用案が固まったら3Dモデルと仕様へ戻します。雰囲気の比較と形状・仕様の確認を同じ画像で済ませないことが境界です。

07

設計意図と空間体験は、人が確定する

AIで選択肢を増やしても、採用・不採用と説明の責任は移りません。

AIに補助させる材料整理

  • 条件・資料の分類
  • ボリューム候補の比較
  • 外観や光のスタディ
  • 確認項目の下書き

人が持つ設計判断

  • 設計意図と空間体験
  • 法規、コスト、納まり
  • 街との関係と施主との対話
  • 採用案と説明の責任
AIは判断の材料を整え、人が設計意図、空間体験、街との関係を確かめて採用案を決める。

最初に試す業務を決める。

建築AI活用度診断で、設計と図面、書類、現場、組織の現在地を整理してから一つの業務を選びます。

建築AI活用度診断へ →

FAQ

よくある質問

AIで設計案を自動で確定できますか?

できません。AIは条件整理や比較案づくりを補助しますが、法規、コスト、設計意図、空間体験、施主との合意を確認して採用案を決めるのは人です。

AIパースは完成パースの代わりになりますか?

完成パースの代わりではありません。AIパースは初期検討で方向性を比べる資料として使い、採用案の形状・寸法・仕様は3Dモデルや図面へ戻って確認します。

AIモデリングを最初に試すなら、何を選べばよいですか?

毎回同じ条件を確認する作業を一つ選び、入力資料、出力形式、人が確認する項目を先に決めます。一案件で従来手順と比べ、修正箇所と再現性を記録してから広げます。